50m走やリレーで速く走るための、スプリント(短距離走)動作について書いていきます。
短距離走を速く走るためのポイントを3つ上げます。
①力の大きさと方向
②無駄な力みのないスムーズな動作
③重心移動
■力の方向について
力とは、足で地面を蹴るときの反発の大きさを表します。
地面を蹴る反発力が大きいほど速く走ることができます。
力の方向とは、地面の蹴り方によって力が真上方向に加わったり、進行方向の真横に加わることもあります。
速く走るために、一番良い力の方向は斜め方向です。
下記の図の赤矢印の方向に力が加わる際に、一番速く走ることができます。
では、斜め方向を意識して地面を蹴れば良いと考えられる方がほとんどだと思いますがそうではありません。
人間の構造と同じ造りの人体模型を少し高い位置から真下に落とし、足の裏で着地させてバウンドさせるという実験があります。
ボールなどであれば、上から下に落とした場合、そのまま真上にバウンドします。
しかし、人体模型の実験では真上から落としてバウンドさせると斜め方向にバウンドするという結果になりました。
つまり、人間は真上に力を加えることで斜め方向への力が生まれる構造になっています。
そのため、走る際は、真上に上がるように地面を蹴る(地面と垂直の方向)ことがポイントです。
■力の大きさについて
当然、地面を蹴る力が大きければ大きいほど速く走ることができます。
もちろん、蹴る力ですから筋力が重要かと考えられるかと思いますが、筋力よりもまずどこで地面を蹴るかということが重要です。
一番大きな力を加えられるのは、足の重心位置で地面を蹴ることです。
他の記事でも何度もご紹介させていただいていますが、踵(かかと)と土踏まずの間あたりで脛骨の真下です。
下図の赤丸の部分が重心位置です。
つま先で走るというのが一般的に言われていると思います。
確かに、加速をするにつれて足の回転数が速くなっていくと自然につま先で走るようになります。
ですので、最終的にはつま先で走ることになります。
イメージとしては、重心を意識して走って行くうちに自然とつま先で走るようになるという感覚です。
どういうことかを自転車とミッションの車を例に説明していきます。
止まった状態の自転車をこぐ際、初めは大きな力を加えます。
そこから加速するにつれて、大きな力を加えなくてもスムーズなギアとタイヤの回転だけで進むようになります。
車も同じで、初めはローギアから2速、3速とギアチェンジしていきます。
これは一番馬力のあるローギアでパワーをためて、あとはローギアで溜めたパワーでスムーズな動きができるように2速、3速とギアーを変えていきます。
パワーには限度があり、いくら大きなパワーを発揮しても動作につまりがあるとスピードがでず、かえってブレーキになります。
また、50m走るとして、常に最大のパワーを出し続けることは不可能です。
筋トレをされるとお分かりいただけると思いますが、筋力はだんだん疲労して力がでなくなっていきます。
つまり、50mの間ずっと最大の力を出し続けることはできないため、最大のパワーを動作に変えていかなくてはいけません。
自転車でいうと、ある程度漕ぎはじめるとペダルが軽くなってスムーズに走れるようになると思いますが、もしペダルが重いままですとスピードが上がらないというのがイメージできるのではないでしょうか。
これと同じで、人間の場合もはじめは大きな力を加えて、あとはその力にブレーキがかからないようにスムーズな動作に変えていかなくてはいけません。
その過程が重心→つま先というイメージです。
意識はずっと重心で走り、自然に重心からつま先になる感覚をつかんでみてください。
【スムーズな動作を行うには】
スムーズな動作を行うためには、無駄な力みを入れないことと、人間本来の自然な動作を行うことです。
無駄な力みはブレーキとなってしまいます。
また、不自然な動作ですと動きに詰まりがでるため、遅くなってしまいます。
では、スムーズな動作を行うためのポイントと手順を書いていきます。
■腕の振り方
①リラックスをして脇が上がらないようにする
②腕は前方に推進力を与えるように、手が顔の前に来るように振る
③肘は常に曲がった状態
④腕は後ろには引かない。(後ろに引くと力みが入りブレーキになる)
⑤リラックスをして腕を振ると、腕はまっすぐではなく斜めになる
■脚の上げ方
①体側に揃うようにまっすぐ上げる
②脚は上げすぎず、力みが入らない所の高さまで上げる(上げすぎると身体が後ろに反れ、ブレーキとなる)
③膝は上にあげるというより、前に出すイメージ
■踵の上がり方
①ヒップキックを行う(静止した状態で、踵で臀部を蹴る動作)
②左右対称に臀部にあたっているかどうかを確認する
ずれている場合は、左右対称に両臀部の中央部にあたるように修正する
③内外にずれないようにする
【重心移動】
走る際は、足を動かすというより、体の重心を移動させることで勝手に足が動くというイメージです。
■感覚をつかむ手順
①リラックスした状態で、その場でヒップキックを行います。(踵で臀部を蹴る動作)
②ヒップキックを行っている状態で、体を前に倒すと自然に前進していきます。
これを繰り返して、自然に前進していく感覚をつかみます。
(わかりにくい場合は服を前に引っ張りながら行う)
③感覚がつかめたら、自然に前進していきながら徐々に上体を起こしていき、実際にスプリントを行います。
【上手くスプリント動作ができているかどうかのチェックポイント】
上記の3つのポイントが確認できたら、実際にスプリント動作を行います。
スプリントを行い、下記のポイントが体感できれば上手く走れているという証拠になります。
①足裏の重心を意識しているが、自然につま先で走るようになる
②体が宙に浮いているような感覚
③ゴールした後も、与力で勝手に体が前進していく
④何本か走っても疲労感を感じない。
以上の内容が短距離走を速く走るためのポイントと手順です。
ご質問や実際にレッスンを受けてみたい方はホームページ上の問い合わせホーム、もしくはコメント欄にてお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
実際にレッスンを受けていただいたクライアント様のレッスン前とレッスン後の動作の違いを比較したムービーをご覧ください。
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mama (金曜日, 30 10月 2015 12:08)
センキュー
よし (月曜日, 09 4月 2018 21:50)
本当に早く走れる方法ありますか?
お答え出来るならお願いします!
石田 (火曜日, 10 4月 2018 01:17)
私は、50m走で7.5秒だったのが、6.8秒になりました。
動作の感覚をつかめれば速くなると思います。